ターナー
Joseph Mallord William Turner (1775−1851)
イギリス   ロマン主義  

吹雪 、1842
tu11.jpg (58989 バイト) Oil on canvas
91.5 x 122 cm (36 x 48 in.)

1815年、ナポレオンがライプツィヒの戦いに敗れ、エルバ島に流され、ヨーロッパ大陸は再び平穏を取り戻していた。ターナーの幾度にもわたるヨーロッパへの旅も始まった。特にイタリアのベニスへの旅は、ターナーにとっては大きな収穫であった。それは彼が光と空気を描くことに拍車をかけていった。

"Steamboat in a Snowstorm (吹雪--港の沖合いの蒸気船 )" はターナーが何を描きたかったかを現している。ものすごいつむじ風の描き方である。本当に海上で吹雪に遭っているような、それを経験しているかのような感覚になる。

吹き荒れているのは雪なのか、雲なのか、風なのか。蒸気船の煙なのか。それとも海水が荒れ狂っているのか。すべてが結びついて、恐ろしい現実感が出ている。ターナーが描いた野生の自然は、危険で恐ろしいもので、コントロールなどできない。我々はターナーの絵を見ることによって、野生を体験する。

しかし、もしタイトルを取り外して、20世紀に時間を移すと、抽象画として我々は見るかもしれない。ターナーは19世紀の画家であるが、20世紀になると、抽象絵画が出てきて、画家たちは我々に説明できない、支配できないものを描きだす。ターナーはかなりの時間と世代を飛び越えてしまった。

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