クリムト 「 パラス・アテナ 」 1898 Oil on canvas、84 x 42 cm 、ウィーン市立博物館
主題解説:ギリシャ神話へ行く
ローマ名ミネルヴァ
ゼウスとメティスの娘。知恵の女神。
あるとき、ゼウスは巨人族(テイタン)の女神メティス(思慮)に夢中になっていた。
メティスは逃げたが、ゼウスには抗しきれず、ゼウスの子を宿してしまった。
メティスには、生んだ子供が、父親を殺すであろうという予言がなされていた。
そこでゼウスはメティスを丸ごと飲み込んでしまった。
すると激しい頭痛に見舞われた。ヘパイトス(鍛冶の神、工芸家の主、アフロディテの夫)がゼウスを助けるために、頭を割った。すると、ゼウスの頭から乙女が生まれた。アテナである。
ゼウスの頭から生まれたアテナは、知恵の女神で、人々を賢くするため尽力した。
男女の技術の守護神で、農業、航海術、あるいは機織り、裁縫などを司っていた。
アテナの発明品には戦争の道具もあり、アテナもいつも兜、胸板をつけ、槍と盾を手にしている。
しかし、彼女の戦争はあくまでも、防御的なものであり、軍神アレスのように戦争を推し進めるのではなく、平和を回復するためのものであった。
その戦いの知恵は、戦略となり、軍神アレスにさえ勝つといわれていた。
知的な活動のパトロンであり、アテナイの守護神である。処女神パラス・アテナと呼ばれ、永遠に処女であった。
学者は啓示を求め、発明家は霊感を求め、裁判官は明晰と公平を求め彼女に祈った。軍の隊長も戦術を磨くために彼女に祈った。
オリーヴの木が聖木で、ふくろうが聖鳥である。