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ジェームズ・マクニール・ホイッスラー
 (1834-1903)
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アメリカ   印象派、世紀末芸術

ホイッスラーは、アメリカ人の画家である。日本の絵画のスタイルを技術的に取り入れ、革新的なスタイルを創り上げ、近代絵画に貢献した。
21才の時にアメリカを離れて、パリへ住むようになる。1858年のTwelve Etchings fom Nature(The French Set) で世間に知られるようになる。
すぐにロンドンに移り住み、1860年、At the Piano がアカデミー・オブ・ロンドンに紹介される。1863年、Symphony in White No.1: The White Girl をパリの落選展に出品する
ウィットに富み、ダンディな唯美主義者として芸術活動を続けた。東洋には住んだことはないが、日本の版画と中国の青と白の磁器に魅せられた。東洋と西洋の文化的な掛け橋の役割を果たした芸術家の一人である。
ダンディなホィッスラーがつける絵画の題名もしゃれている。たとえば『グレーと黒のアレンジメント』と題して、母親の肖像を描いていたり、『白のシンフォニー、No.1』、『青と銀色のノクターン』などである。このような題名は大変に現代的であるが、ホィッスラーがはじめてである。
初めてといえば、彼の絵画の展示方法も画期的であった。絵と絵の間に、一定の間隔を置いたのである。今日では当然であるが、当時は絵をびっちりと並べるのが、普通であった。

ピアノにて
1858-59 Oil on canvas  67 x 91.6 cm  シンシナティ、 タフト美術館 
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ウォッピング桟橋
1860-4  Oil on canvas  71.1 x 101.6 cm   ワシントン・ナショナル・ギャラリー

白衣の少女、白のシンフォニーNo.1
1862   214.6 x 108 cm  ワシントン・ナショナル・ギャラリー
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紫とローズ
1864  Oil on canvas  92 x 61.5 cm   フィラデルフィア美術館
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白のシンフォニーNo.2ー白衣の少女
1864  Oil on canvas  76.5 x 51.1 cm  テイト・ギャラリー、ロンドン
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紫とゴールドのカプリース
1864  Oil on canvas  Freer Gallery of Art . Smithonian Institution     Washington, D.C.  USA
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The Artist in his Studio
1868  Oil on canvas  Art Institute of Chicago  Chicago, IL   USA
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灰色と黒のアレンジメント - 画家の母親
1871  Oil on canvas  144.3 x 162.5 cm  オルセー美術館、パリ

ノクターン :青と銀 - チェルシー
1871  Oil on wood  50.2 x 60.8 cm  テイト・ギャラリー、ロンドン

ノクターン :青と銀 - クレモーンの灯り
1872  Oil on canvas  50.2 x 74.3 cm  テイト・ギャラリー、ロンドン

ノクターン: 青と金、オールド・バターシー・ブリッジ
1872-77  Oil on canvas  68.3 x 51.2 cm  テイト・ギャラリー、ロンドン
whis02.jpg (49439 バイト) 最初に紹介するのは、『ノクターン:青と金色 バタシーの橋』 である。このノクターン・シリーズは、1877年に展示された。日本の版画のスタイルを取り入れ、はっきりとした描写を避け、雰囲気を伝えることに専念し、それまでの古典的な西洋絵画の様式を払拭した。日本人が一目見れば、日本の版画の影響を見て取れるはずである。

ノクターンという題名にも現れているが、ホイッスラーが目指したのは、色彩に重きを置いた、絵画と音楽の融合である。説明をする絵画ではなく、何かを感じ取る絵画である。

この絵の、霧にかすんだ、ぼんやりとした薄明かりの青は、上品なエーテルの炎のようである。ホィッスラーがロンドンにいたから描けたのかもしれない。当時のロンドンは産業革命が進行し、資本主義社会としての成功を謳歌していた。しかし、その代価として、空気は汚れ、今日でいう公害がひどかった。霧にかすむロンドンというのは、実は霧ではなく、工場の煙にかすんでいたのである

しかし、この絵はそんなことを伝えてはいない。どこかミステリアスでロマンティックな雰囲気のロンドンを描いている。そういった雰囲気を伝える絵画が、彼の目的であった。それ以上の説明を要しない。

ホィッスラーの使った方法というのは、実物を写し取るのではなく、記憶に留める。その後、アトリエに帰ってから思い出しながら描くのである。コールリッジという詩人が使った方法である。こうすることによって、印象に残ったものだけを描くので、抽象的になってきて、事物がよりシンプルになる。この絵はその完成作である。

ホィッスラーの絵は、印象派の絵というよりは、後に来る抽象絵画の分野に入るのではないか。ホィッスラーが時代の先を行っていたということである。

この作品は、日本の広重の影響が濃い。橋を橋げたからT字形に架ける構図はとても大胆で、広重の作品を見ていただけると分かると思う。もはや広重の真似とは言えないが,西洋人のアレンジ力に舌を巻かざる終えない。それに加えて、前景の船頭の姿は、日本人ならどこかで見たことがあると感じさせる姿である。

灰色と黒のアレンジメント No.2 :トーマス・カーライルの肖像
1872-73  Oil on canvas  171.1 x 143.5 cm   グラスゴウ美術館

灰色と緑のハーモニー : シスリー・アレクサンダー嬢
1872-74  Oil on canvas  190.2 x 97.8 cm   テイト・ギャラリー、 ロンドン

クレモーン公園 No.2
1872-77   Oil on canvas   68.5 x 134.9 cm   ニューヨーク近代美術館MoMA

黒と金のノクターンー落下する花火
1875  Oil on wood  60.3 x 46.6 cm  Detroit Institute of Arts
whis03.jpg (57101 バイト) この花火の絵は、完全に抽象絵画の走りと見てもいいだろう。

1877年グロヴナー・ギャラリーに展示されたとき、当時の有力批評家ラスキンに「公衆の顔面に絵の具の壷を投げつける」と嘲笑された。(西洋絵画作品名辞典より)

孔雀の間  (装飾)
1876-77   369.5 x 141 cm   フリーア美術館 、ワシントン
中央
whis06.jpg (50876 バイト) クイーンズ・ゲイト49番地のF・R・レイランド邸の食堂の内装として制作。現在フリーア美術館に移築。東洋趣味や文様的な装飾性などアール・ヌーヴォ様式を先取りした作品。((西洋絵画作品名辞典より)

孔雀の間: 闘う孔雀
南側  180.3 x 472.5 cm

ノクターン :ブルーと金 :サンマルコ大聖堂 ヴェネツィア
1879-80  44.5 x 59.7 cm   ウェールズ国立美術館  カーディフ

肌色と黒のアレンジメント - テオドール・デュレの肖像
1883-84  Oil on canvas  193.4 x 90.8 cm   メトロポリタン美術館  ニューヨーク

赤と黒 : 扇
1891-94  Oil on canvas  187.4 x 89.8 cm   グラスゴー美術館

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