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アントワーヌ・ヴァトー | |||
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(1684−1721) | |||
フランス ロココ | |||
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ロココはヴァトーから始まる。彼の絵は優雅な中に哀愁があり、まだ17世紀風ではある。ヴァトーは夭折の画家である。37歳で肺病のため亡くなっている。 | |||
フランドルに近いヴァラシエンヌ出身。大作『シテール島の巡礼』で認められる。ロココ最大の画家。 故郷ヴァランシエンヌは1680年、ヴァトーが生まれる6年前にフランス領に併合された。もとはフランドルである。 父親は屋根裏職人である。 1702年ころ、画家クロード・ジロに学ぶ。ジロはコメディア・デラルテ(イタリア軽喜劇)を多く描いている。 1712年、ラ・フォッスに認められて、イタリア滞在なしに、アカデミーの準会員となり、入会の作品を描く権利を与えられた。 1717年、ようやく、『シテール島への船出』を提出した。 「雅宴画」が市民権を得たのは、この作品からである。 しかし、この4年後、亡くなってしまう。 |
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ヴァトー 「マーモット使い」 1716 | 40x33cm | エルミタージュ美術館、サンクト・ペテルブルク | |||
当時、貧しさの代名詞とされたサヴォワ人の姿。彼らは、小動物を使い、日銭を稼いでいた。 | |||
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ヴァトー 「道ならぬ恋」 1717 | 40x31.5cm | ルーヴル美術館、パリ | |||
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ヴァトー 「シテール島の巡礼(雅やかな宴)」 1717 | 129x194cm | ルーヴル美術館、パリ | |||
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ヴァトー 「メズタン」 1717-19 | 55.2x43..2cm | メトロポリタン美術館、ニューヨーク | |||
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ヴァトー 「シテール島への船出」 1718-19 | 129x194cm | シャルロッテンブルク宮、ベルリン | |||
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ヴァトー 「人生の魅惑」 1718 | 69x90cm | ウォーレス・コレクション、ロンドン | |||
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ヴァトー 「ピエロ(ジル)」 1718-19 | 185x150cm | ルーヴル美術館、パリ | |||
ヴァトーの絵で、「ジル」 を見てみよう。当時人気があったピエロである。 人々はいったい物悲しい道化にいつから気づいていたのだろう。16世紀後半、シェイクスピアの劇にも多くの道化が登場する。それは真実を語る姿においてである 18世紀後半、モーツアルトの歌劇、『魔笛』は、ヴァトーの絵の後に登場する。その中で、道化のパパゲーノはパパゲーナと結婚するが、生まれてくる子供は全てパパゲーノとパパゲーナである。一人の個人ではないのである。道化は変わりようが無いのである。 成就することのない恋というテーマにおいても、道化は登場してくる。主人公の男女はいろいろな妨害を乗り越えて、最後には結婚で幕が降りる。その間、主人公を助けたり、笑いを撒き散らす道化は、いつもそのままである。チャプリンがそうであるし、きっと寅さんもそうである |
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ヴァトー 「愛の喜び(愛の宴=ヴィーナスの彫像の下で)」 1719 | 61x75cm | ドレスデン国立絵画館 | |||
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ヴァトー 「戸外の集い」 1719 | 61x75cm | ドレスデン国立絵画館 | |||
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ヴァトー 「イタリアの喜劇役者たち」 1720 | 63.8x76.2cm | ワシントン・ナショナル・ギャラリー | |||
ヴァトーは旅一座の絵画も多く描いている。当時イタリアやフランスの旅芸人たちは、宮廷で公演していた。基本的には恋愛と失望というテーマの劇であった。 "Italian Comedian" は道化とそれを取り囲むおどけたポーズの俳優たち、綺麗な女性、いちゃついているカップルなどがいる。おどけた画面であるはずなのに、なにか冷たさを感じる。 中央のピエロはやけに背が高く、真っ白な衣装で、物悲しく立ち尽くしている。道化が道化で無くなってしまい、一人の個人となっているのである。 個人として道化を見る限り、これは悲しい。人々の笑い者だからである。ヴァトーは道化を一人の個性として描いたのである。この絵の冷たさは、一人の人間を攻撃的に嘲笑する人々の冷たさである。 ヴァトーの絵は、16世紀から18世紀にかけて流行った、イタリアの 『コンメディア・デラルテ』 という即興喜劇である。登場人物は名前・性格・衣装など決まっていた。 |
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ヴァトー 「ジョルサンの看板」 1720 | 166x306cm | シャルロッテンブルク宮、ベルリン | |||
手前の石畳などの写実表現は、フランドルの伝統である。 夢見る画家ヴァトーが描いた、現実の世界。しかし、ヴァトーが描くと、騒々しい店頭も、叙情的になってしまう。 |
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