フェルメール |
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(1632-75) |
オランダ 17世紀オランダ絵画 |
デルフト出身。19世紀半ばに発見される。 |
バロック時代はカラバジョ、レンブラントなどに見られるように、光と闇の対比によって、劇的な効果を出す絵画が主流であった。
そんな中、一人、静かな光の使い方をした画家がいた。フェルメールである。
彼の絵はすべてが、やさしい静寂に包まれている。
17世紀オランダの画家であるが、その生涯ははっきりしていない。11人の子供をかかえ、貧窮のうちに45歳で亡くなっている。彼の絵画は全部で34点前後と数が少ない。
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マルタとマリアの家のキリスト |
1654-55? 160 x 142 cm スコットランド国立美術館 エディンバラ 署名あり |
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聖女プラクセデス |
1655? 個人蔵 |
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ディアナとニンフたち |
1655-56 98,5 x 105 cm マウリッツハイス美術館 ハーグ オランダ |
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別人の署名の下からフェルメールの署名が現れたという作品。
1999年に修復されたが、その際に17世紀には存在していなかった絵具が発見され、加筆されたことが明らかになった。 |
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取り持ち女 |
1656 143 x 130 cm ドレスデン国立絵画館 |
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眠る女 |
1657 87,6 x 76,5 cm メトロポリタン美術館 ニューヨーク |
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手紙を読む女 |
1657 83 x 64,5 cm ドレスデン国立絵画館 |
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デルフトの小道 |
1657-58 54,3 x 44 cm アムステルダム国立美術館 |
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兵士と笑う女 |
1657 50,5 x 46 cm フリック・コレクション ニューヨーク |
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牛乳を注ぐ女 |
1658 45,5 x 41 cm アムステルダム国立美術館 |
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紳士とワインを飲む女 |
1658 66,3 x 76,5 cm ベルリン国立絵画館 |
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ワイングラスを持つ女 |
1659 ヘルツォーク・アントン・ウルリヒ美術館 、ブラウンシュヴァイク |
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デルフトの眺望 |
1659-60 98,5 x 117,5 cm マウリッツハイス美術館 デルフト |
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フェルメールが再評価を受ける契機となった作品。 |
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水差しを持つ女性 |
1660-62 45,7 x 40,6 cm メトロポリタン美術館 ニューヨーク |
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中断されたレッスン |
1660-61 39.3 x 44.4 cm フリック・コレクション 、ニューヨーク |
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ヴァージナルの前の二人 |
1662-65 73,3 x 64,5 cm ウィンザー城王室コレクション ロンドン |
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画中画「ローマの慈愛(キモンとペロ)
ヴァージナルに描かれている銘文には 「音楽は喜びの伴侶、悲しみの薬」とある。
17世紀のオランダは長年のスペイン支配を脱しようとしていた。そして宗教改革の影響で、絵画では宗教絵画が排除され、音楽も教会音楽が排除された時代だった。教会では楽器伴奏無しで、詩篇を同じメロディーでみんなで歌っていたそうだ。
職業的な音楽家は育たず、裕福な家の子女が集まり、アマチュア演奏が家庭で盛んに行われていた。当時、ヴァージナルとリュートが裕福な子女たちに人気があった。 |
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真珠を量る女 |
1662-63 42,5 x 38 cm ワシントン・ナショナル・ギャラリー |
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美しい女性が、きゃしゃで優美な天秤を持っている。窓の日よけを閉めきり、机の上に宝石をちりばめている。この絵は、『Woman
Weighing Gold (金を量っている女)』 という名前でも知られている。しかし、天秤には金は乗ってはいない。
お腹には子供を宿しているのが見て取れる。日よけがかけられた窓からは、女性のお腹へと優しい光が射している。明らかに、光は女性の子供を祝福しているようである。お腹のあたりに見える黄色の洋服は宝石よりも輝いているだろうか。
注目して欲しいのは、女性の後ろにある絵である。これは『最後の審判』の絵である。キリストが量るのは、人間の魂である。女性が量っているのは現実であろうか。 |
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真珠の首飾りの女 |
1662-64 55 x 45 cm ベルリン国立美術館 |
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リュートを調弦する女性 |
1663 51,4 x 45,7 cm メトロポリタン美術館、ニューヨーク |
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青衣の女 |
1663-64 46,6 x 39,1 cm アムステルダム国立美術館 |
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ターバンの娘 |
1665 46,5 x 40 cm マウリッツハイス美術館 ハーグ オランダ |
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ターバンは、オスマン帝国に戦いを挑む際に、敵が身につけていたものであるが、当時は遠い異国をかもし出す、エキゾチックなものであった。 |
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合奏 |
1665-66 69 x 63 cm イザベラ・スチュアート・ガードナー美術館 、ボストン |
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手紙を書く女性 |
1665-66 |
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絵画芸術 |
1665-67 120 x 100 cm ウィーン美術史美術館 |
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左側の女性は歴史のムーサ(女神)。諸芸術の創造における霊感の女神たちの一人。(主題解説;ムーサへ行く)持ち物は月桂冠と書物、ラッパ。書物の中には英雄たちが語られている。
トランペットは名声の象徴、月桂冠は栄光を表している。
中央上のシャンデリアの飾りは、スペイン王家ハプスブルク家の双頭の鷲。ロウソクがないのは、ハプスブルク家の没落を表す。オランダはミュンスター条約(1648年)でスペインからの独立を勝ち取っている。
画家の衣装は15世紀のもの。ファン・エイク、ウェイデンなどの時代である。
机の上にあるマスクは模倣の象徴。絵画が模倣の芸術だということを示している。
17世紀当時オランダでは古い地図の復刻版が流行していた。室内装飾用の地図も売られていた。この絵にある地図も実物があり、左右にはネーデルラントの主要都市の風景版画が並んでいる。 |
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フェルメールの死後、借金返済のため作品は競売にかけられた。しかし、この「絵画芸術」は家族が最後まで手放そうとしなかった作品である。 |
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少女の頭部 |
1666-67 44,5 x 40 cm メトロポリタン美術館 ニューヨーク |
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フルートを持つ女性 |
1666-67 (?) 20,2 x 18 cm ワシントン・ナショナル・ギャラリー |
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婦人と召使 |
1667 89,5 x 78,1 cm フリックコレクション、ニューヨーク |
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赤い帽子の女性 |
1668? 23 x 18 cm ワシントン・ナショナル・ギャラリー |
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天文学者 |
1668 50 x 45 cm ルーヴル美術館 |
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モデルにレーウェンフック説がある。高性能の顕微鏡を作り、ミクロの世界を次々と発見した科学者だ。
フェルメールと同じ、デルフトに住み、年齢も同じ。フェルメールの死後、遺産管財人を務めている。
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地理学者 |
1668 53 x 46,6 cm シュテーデル美術研究所 フランクフルト |
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レースを編む女性 |
1669-70 23.9 x 20.5 cm ルーヴル美術館 |
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恋文 |
1667-68 44 x 38.5 cm アムステルダム国立美術館 |
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手紙を書く婦人と召使 |
1670 72,2 x 59,7 cm アイルランド国立美術館 ダブリン |
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ヴァージナルの前に座る女性 |
1670 25 x 20 cm 個人蔵 |
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2004年、フェルメールの真作と分かった作品。ロンドンのサザビースで競売にかけられ約32億6000万円で売却されたそうだ。
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ヴァージナルの前に立つ女性 |
1670 51,7 x 45,2 cm ロンドン・ナショナル・ギャラリー |
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「信仰」の寓意 |
1671-74 114,3 x 88,9 cm メトロポリタン美術館 ニューヨーク |
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ルイ14世がオランダに侵攻する1672年じゃら78年。最終的にはオランダの勝利だったが、オランダン戦争は7年間続いた。
フランスの脅威に関する寓意画。
フランス王の侵略以来、フェルメールには収入が無くなってしまっていた。
フェルメールだけではなく、オランダの他の画家たちも同じように収入が無くなり、別の仕事についたりした。
女性が地球儀に足を乗せているが、それはアジアの部分。植民地を象徴している。
中央にぶら下がっているガラス玉は、ヴァニタスを意味している。「地上の栄華の虚しさ」を指す。カトリックのルイ14世のフランスのこと。
聖杯や十字架がカトリックを表す。
オランダの富の源泉であったアジアの植民地が、今やフランスの手中に収まろうとしているのだ。 |
『信仰の寓意』はキリスト教に関する、象徴的なものを集めて描いている。カーテンは、向こう側を舞台に見立てる幕の意味を表す。
女性はイヴである。後ろにかかっている絵は、キリストの磔(はりつけ)である。床に転がっているボールは、りんごを表す。アダムを誘惑したりんごであり、人間の罪のしるしである。
オランダの内装である白黒のタイルの上を這っている、血を流した蛇。この蛇は悪に対する善の勝利を表している。
この血を流している蛇、そして天球を仰ぎ見ているイヴ。これこそが、悪徳に打ち勝ち、信仰という美徳を求めるという姿を表している。
彼女の足は地球儀の上に乗っている。そしてもう一つ、天井から、ガラスの天球がぶら下がっている。人間の理性の象徴であると考えられている。 |
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ギターを弾く女性 |
1672 53 x 46,3 cm ケンウッドハウス 、ロンドン |
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ヴァージナルの前に座る女性 |
1673 51,5 x 45,5 cm ロンドン・ナショナル・ギャラリー |
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