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ティツィアーノ・ヴェチェッリオ | ||
( 1488-1567) | ||
イタリア ルネサンス、ヴェネツィア派 | ||
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16世紀、ヴェネツィア派、最大の画家。イタリアのフィレンツェ・ローマとヴェネツィアの対立はそのまま、「ミケランジェロ、ラファエロの素描」と「ティツィアーノの色彩」という対立であった。 美術史上最長の長寿であった。レンブラントやマティスのように人生のそれぞれの段階を経て変化しながらも成長し、晩年に頂点を極める。 幸運な画家であった。ジョルジョーネが早世した後を継ぐ形で絵を描きつづけた。もしジョルジョーネが生きていたら、二人の巨匠はどのような道を歩んだであろう。きっと、ティツィアーノにも違った人生が待っていたに違いない。 ジョルジョーネの分まで生きたティツィアーノである。未完のジョルジョーネの作品を完成させていく過程で、彼の詩情を身につけていった。 1540年代、神聖ローマ帝国カール5世がパトロンになった。カール死後もスペイン王フェリペ二世が顧客であった。 ルーベンス、ベラスケス、レンブラントに影響を与え、さらにはドラクロワや印象派への影響を鑑みれば、近代絵画の先駆者である。 |
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ティツィアーノ ≪ 田園の奏楽 ≫ 1508 | 105 x 136 cm | ルーヴル美術館 | ||
18世紀フランスで流行した「雅宴(フェート・ギャラント)」の原型とされる。 |
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ティツィアーノ ≪ 女の肖像(スラヴの女) ≫ 1510 | 108 x 122 cm | ロンドン・ナショナル・ギャラリー | ||
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ティツィアーノ ≪ 人生の三段階の寓意 ≫ 1510 -13 | 106 x 182 cm | スコットランド国立美術館、エディンバラ | ||
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ティツィアーノ ≪ ノリ・メ・タンゲレ(我に触れるな) ≫ 1512 | 109 x 91 cm | ピッティ美術館、フィレンツェ | ||
復活したキリストが、マグダラのマリアの前に現れるという物語である。庭師と間違えられたキリストは、鋤を持つ姿で描かれる。 ティツィアーノがまだ若い頃の作品である。マグダラのマリアは豊な衣装を着ている。キリストは見を引きながら言う。「私に触らないように。私はまだ父の許に上がってはいないのだから」 二人の人間的なやりとりが描かれている。 復活したキリストの身の軽さに比べ、マリアはこの世のしがらみで重い。 背景の青はうねリ来る海に見えるが、広大な世界が広がり、マリアを待ち受けているのである。 |
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ティツィアーノ ≪ 合奏 ≫ 1512 | 108 x 122 cm | ピッティ美術館、フィレンツェ | ||
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ティツィアーノ ≪ 鏡の前の女 ≫ 1512-15 | 108 x 122 cm | ピッティ美術館、フィレンツェ | ||
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Holy Family and Donor | ||
1513-14, canvas, ミュンヘン、 アルテ・ピナコテーク |
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ティツィアーノ ≪ 聖なる愛と俗なる愛 ≫ 1515 | 118 x 279 cm | ボルゲーゼ美術館、ローマ | ||
一方の女性が衣服をまとっているのに対し、他方の女性は裸体で描かれている。 おそらく、一般の人が見ると、衣服をまとっている女性は「聖なる愛」を象徴し、裸体の女性が「俗なる愛」を象徴していると見るのではないだろうか。 実はドリアンもそう思っていた。しかし、実は逆であったのである。その意味をこれから説明しよう。 西欧では裸体は純潔、純白を意味していた。日本と西洋の大きな違いである。 キリスト教では、罪を犯す前のアダムとイヴは裸体であった、と聖書に記述されている。しかし、道徳を重んじるキリスト教である。中世においては性を剥き出しにした裸体像は描かれなかった。 ルネサンス期、「古代の再生」という意味で、裸体像が復活したのである。もちろん、道徳観念があるので、古代の女神ヴィーナスであることが口実とされた。 ルネサンスにおいては、裸体像が精神的な人物を表していた。そして衣服を身につけるということは、物質的なもので体を覆い隠すことを意味していた。 裸体が理想的な美であったのは15世紀末から16世紀の半ばくらいまでであった。その後は対抗宗教改革によって、キリスト教の伝統的道徳観が勢いを増すと、一斉に裸体攻撃が始まったのである。そのとき多くの裸体画が抹殺された。 この絵では、衣服を着ている女性は、重い壷を持っている。地上の財宝である。 衣服を着て地上の財宝にしがみついている世俗的な愛の擬人像なのである。 裸体の女性は小さな壷を持ち、その壷から煙が出ている。物質的なものが入っていない、燃える火の壷は、神性を象徴する。聖なる愛の擬人像である。 右側、裸体の女性は深紅の布をまとっている。赤は「慈愛」、他者への愛を意味する色である。 裸体の女性の背景は教会、牧場、青い空であるのに対し、衣服の女性の背景は暗い森、城、曇った空である。 しかし、この絵は単に、「地上の愛」と「天上の愛」の対立を描いたものではない。15世紀の人々は世俗的な愛も美しいと考え始めていた。人間的なものと神聖なものの調和をめざしていたのである。 中央の櫃に彫られているのは、キューピッド(クピド)の愛の物語である。 右手に描かれているのは、倒れている人物とそこにのしかかって鞭で打っている人物である。官能の情熱を罰しているのである。 左手は荒馬を調教している場面である。同じく教育を意味している。動物的な愛欲の衝動を罰しているのである。 ということは、衣服の女性は地上の愛を象徴しているが、その愛は動物的な愛ではなく、人間的な愛を意味しているのである。 キューピッド(クピド)は、櫃の無垢の愛の泉をかき回している。かきまぜるという行為は、対立するものを混ぜ合わせるという意味である。 そして重要な要素として、ピンクのバラがある。赤いバラはヴィーナスの花である。ヴィーナスの情熱的な愛の象徴である。 キリスト教においては、赤いバラはイエスの体の傷口、イエスの殉教、慈愛、悲しみ、聖母マリアの花なのである。 衣服の女性は手にピンクのバラの花を持ち、さらに、花びらが泉の周りに散らばっている。中央には植えられたバラの木が、ピンクの花をつけている。 植えられた木は「結婚」の象徴である。毎年花をつけ、永続するからである。 切り取られた花は、つかの間の命、はかない愛、つかの間の快楽を意味する。 二人は赤い布と、白の衣装を身につけている。二人の色を混ぜたピンクのバラなのである。二人の対立を調和させる意味を持つ。肉体的な愛と、精神的な愛を、平等にしているのである。 ティツィアーノはルネサンスが目指したヒューマニズム、信仰と人間性の調和という理想を見事に表現したのである。 ルネサンスの成果は、人間の地位を高めたことにある。それまで、封建制の社会の中で、人々は神と君主に仕えて死んでいった。そんな社会において民衆は、すべて運命で、神の意志で、変えることができないという概念があった。それはそれで、ある意味、精神安定剤でもあった。 しかし、貿易や商業が発展してくるにつれ、都市市民というものが形成されてくると、世界に対する見方が大きく変わってくる。運命を変えられないと考えていた人間が、より自由な、誇りある、力ある存在であるという思想が起こってくる。 もちろん、神が創った体系を否定するまではいかないが、人間の自由と尊厳を増加させたのはルネサンスである。ルネサンスがあったからこそ、近代社会が成立できたのである。 そのルネサンスの思想を伝える、重要な一枚が、ティツィアーノの手による絵であったのである。 |
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ティツィアーノ ≪ 赤い帽子の男の肖像 ≫ 1516 | 82.3 x 71.1 cm | フリックコレクション、ニューヨーク | ||
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ティツィアーノ ≪ 聖会話とペーザロ家の寄進者たち(ペーザロ家の寄進者たち) ≫ 1519-26 | 485 x 270 cm | サンタ・マリア・グロリオーサ・デイ・フラーリ聖堂、ヴェネツィア | ||
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ティツィアーノ ≪ バッコスとアリアドネ ≫ 1520-22 | 175 x 190 cm | ロンドン・ナショナル・ギャラリー | ||
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ティツィアーノ ≪ バッコス祭(アンドロス島の人々) ≫ 1523-25 | 175 x 193 cm | プラド美術館、マドリード | ||
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ティツィアーノ ≪ 海からあがるヴィーナス ≫ 1525 | 73.6 x 58.4 cm | スコットランド国立美術館、エディンバラ | ||
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ティツィアーノ ≪ 毛皮の少女 ≫ 1535-37 | 95 x 63 cm | ウィーン美術史美術館 | ||
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ティツィアーノ ≪ ウルビーノのヴィーナス ≫ 1538 | 119 x 165 cm | ウフィツィ美術館 | ||
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ティツィアーノ ≪ 統領アンドレア・グリッティ ≫ 1540 | 133 x 103 cm | ワシントン・ナショナル・ギャラリー | ||
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ラヌッチオ・ファルネーゼ | ||
1542 90x74cm National Gallery of Art, Washington D.C. |
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ティツィアーノ ≪ カール5世騎馬像 ≫ 1548 | 332 x 279 cm | プラド美術館、マドリード | ||
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ティツィアーノ ≪ ヴィーナスとオルガン奏者とキューピッド≫ 1548-49 | ベルリン国立美術館 | ||
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ティツィアーノ ≪ ヴィーナスとキューピッドとヤマウズラ≫ 1550 | ウフィツィ美術館 | ||
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ティツィアーノ ≪ サロメ ≫ 1550 | 87 cm x 80 cm | プラド美術館、マドリード | ||
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ティツィアーノ ≪ ダナエ ≫ 1550 | 87 cm x 80 cm | プラド美術館、マドリード | ||
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ティツィアーノ ≪ ヴィーナスとアドニス ≫ 1554 | 186 cm x 207 cm | プラド美術館 | ||
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ティツィアーノ ≪ 鏡を見るヴィーナス ≫ 1555 | 124.5 cm x 105.5 cm | ワシントン・ナショナル・ギャラリー | ||
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ティツィアーノ ≪ ヴィーナスとアクタイオン ≫ 1556-59 | 188 cm x 206 cm | スコットランド国立美術館、エディンバラ | ||
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エウロペの略奪 Rape of Europa | ||
1559-62 Oil on canvas 、185 x 205 cm Isabella Stewart Gardner Museum, |
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ティツィアーノ ≪マグダラのマリア≫ 1750 | ||
マグダラのマリア Penitent Mary Magdalen | ||
1560s Oil on canvas 、46 1/2 x 38 in. (118 x 97 cm) Hermitage, St. Petersburg |
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ティツィアーノ ≪ 賢明の寓意 ≫ 1550-65 | 75.5 cm x 68.4 cm |ナショナル・ギャラリー、ロンドン | ||
左側:老年の男性と、その下は狼。 中央;壮年の男性、その下はライオン。 右側;青年の男性、その下は犬。 過去→現在→未来を象徴している。狼は過去、記憶を象徴。ライオンは現在・知性の象徴。犬は未来・予見を象徴し、未来への不安を鎮める。 |
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1565-70 National Gallery, London |
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自画像 | ||
1567-68 マドリッド、プラド美術館 |
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荊冠のキリスト | ||
c. 1542 Oil on canvas, 303 x 180 cm ルーブル美術館 |
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晩年1570頃 canvas, 280x182cm ミュンヘン、アルテ・ピナコテーク |
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