Arts at Dorian 主題解説 : 文学
キーツ
詩、『イザベラ、あるいはメボウキの鉢』 あらすじ
(ボッカチォの物語 『メボウキの鉢 』より)

イザベラは裕福な地主の娘で、若くして亡くなった。彼女には二人の兄がいて、イザベラが金持ちと結婚して持参金が入るのを望んでいた。

しかしながら、イザベラは従業員で、大工のロレンツィオと恋に落ちた。二人は人目をしのんで会うようになる。

ある夜、兄の一人が二人の逢引を見てしまう。兄は怒って、もう一人の兄に相談した。

次の日、二人の兄弟はロレンツィオを呼び出した。二人は彼に、フィレンツェへ仕事に行ってくれないか、と頼む。

しかし、二人は、ロレンツィオを森へ連れて行って殺し、浅い墓穴に死体を埋める。


ロレンツィオが彼女のもとに帰って来ないので、イザベラは心配した。彼女の兄に説明をしたら、兄は、ロレンツィオがフィレンツェで他の女性に出会い、イザベラへの関心が無くなった、と伝えた。

ロレンツィオが彼女のことを忘れてしまったと信じた彼女は、ベッドで泣いていた。

ロレンツィオの幽霊が現れ、何が起きたか告げた。ロレンツィオの幽霊は、自分が埋められているところの地図を作った。

イザベラがその場所へ行って掘ってみると、彼の遺体が小さなナイフとともにあった。


イザベラはロレンツィオの側を離れたくなくて、しばらくそこにいたが、彼の遺体を森から持ち出すのはできない。そこで、ナイフで頭部を切って、家に持ち帰った。

彼女は彼の頭を大きな鉢に入れて、土をかけた。その上にメボウキ(バジル)の種をまいた。イザベラは水の代わりに、バラ香水と涙を鉢にやった。

バジルは厚く、青々とはえてきた。あまりに早く、青々としてくるバジルを見て、近所の噂になった。


イザベラの兄弟は、彼女が痴呆のようになってしまい、立派な結婚ができなくなるのを心配した。

それで彼らはバジルを盗み、鉢を割ってしまった。中からロレンツィオの首が出てきた。

彼らは、自分達がしたことがばれてしまったことに気づき、町から逃げて出て行った。

イザベラはバジルをずっと側から離さなかったので、鉢が無くなったのを知ると、苦痛のあまり死んでしまった。鉢が消えたことを歌いながら。

ジョン・エヴァレット・ミレイ
イザベラ

1849
Oil on canvas,  102.9 x 142.9 cm
Walker Art Gallery, Liverpool, England


ウィリアム・ホルマン・ハント
イザベラとメボウキの鉢

1867

Oil on canvas
Laing Art Gallery, Newcastle-upon-Tyne, England

ストラッドウィック
イザベラとメボウキの鉢


1879

Tempera   99 x 58.5 cm
The De Morgan Foundation, Battersea, London, England


ジョン・ホワイト・アレキサンダー   (American, 1856-1915)
イザベラとメボウキの鉢

1897


Oil on canvas    192 x 91 cm
Museum of Fine Arts, Boston, Massachusetts, USA

ウォーターハウス
イザベラとメボウキの鉢


1907

Oil on canvas    105 x 74 cm
Private Collection

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