マザッチョ
Masaccio (1401−1428)
イタリア   初期ルネサンス 、フィレンツェ派

三位一体 Trinity
1427-28
重厚で高貴な威厳のある一枚である。アーチ型の天上は遠近法で描かれている。きれいな、科学的な遠近法の使用である。

マザッチョは人間性を描く画家である。ここには六人の人物が描かれている。

苦しみに打ちひしがれた姿のキリスト。神なる父はその上方に威厳を持って十字架を抱え、我々の目の前に、キリストの姿を示そうとしているかのようである。

神とキリストとの間には、白い聖霊が浮かんでいる。慣例的には鳩ととして描かれた。聖霊は三位一体の三番目の位格である。ここでは、この白い鳩が現世と神の世界を分けているようにみえる。

神秘的な二人の関係を、具体的に描いて示している。三位一体とは実態のない神秘である。それを分かりやすく、人間的な見地から見せてくれているのである。

この支柱となる中央の二人の下に、左右に扇を広げたように四人の人間がいる。

聖母マリアはただ一人、まっすぐに絵の外に目を向けている。悲しみを表さない、冷たい、容赦のない表情である。手で十字架の我が子を示し、我々を責め、咎めているようである。

もう片方には聖ヨハネがいる。聖母マリアと同様、堅固でで重厚な姿である。しかし、彼の目線は我々に向かっていない。しっかりとキリストを見ている。

もう一段下には、寄贈者の二人が向かい合っている。

一番下には七人目の姿が見える。骸骨の姿である。。すべての人間を代表しているのである。骸骨の横たわっている石の壁には碑文が刻まれている。

「わたしはかつてのあなたであり、これからのあなたの姿である。」

人間の衰退(死)と魂の救済が表されいる。

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