アールト・デ・ヘルデル
Aert de Gelder　（1645-1727）
オランダ　　バロック
レンブラントの最後の弟子である。1661-1667年までであったので、レンブラントが亡くなったのが69年であるから、本当に晩年の弟子である。 特にレンブラントの晩年の作品からの影響は色濃い。ロンドンのDulwich College Picture Gallery にあるヘルデルの『ヤコブの夢』は、長年の間、レンブラントの作品とされていた。 聖書を主題とした絵と肖像画を得意とした。多くは旧約聖書を主題にとった絵画であるが、レンブラント絵画の深さにまで迫っているし、なおかつ独自の境地にまで到達している。 ドルトレヒトで生まれ、生涯そこを離れることはなかった。
アハシュエロスへ行く前のエステル
	1684 139.4ｘ163.3ｃｍ アルテピナコテーク、ミュンヘン
天使の肖像（大天使ラファエル）
	1680年代前半 板から画布　　53x43cm private collection at オランダ・バロック館 この絵のイメージは　「オランダ・バロック館」のご好意で使用させていただいています。
エルネスト・ファン・ベフェーレンの肖像　Ernestus van Beveren, Lord of West-IJsselmonde and the Lindt
	1685 アムステルダム国立美術館
Esther and Mordochai
	1685 Oil on canvas, 93 x 148,5 cm Museum of Fine Arts, Budapest
Self-Portrait at an Easel Painting an Old Woman
	1685 Oil on canvas Stadelsches Kunstinstitut, Frankfurt
画架の前に座り、老女の絵を描いている。ヘルデルの自画像だが、こちらを見て笑っているのはなぜか。古代ギリシャの画家ゼウクシスは変な老女を描いているときに笑いが止まらなくなって死んだ、という伝説を元に描いているので、笑っている。レンブラントも同主題の作品を描いている。
Portrait of a Boy
	c. 1700 Oil on canvas, 57 x 47 cm Private collection
Simeon's Song of Praise　　（神殿奉献）
	1700 Oil on canvas オランダ、ハーグ、マウリッツハイス美術館
シメオンは敬虔な信者であった。メシアに会うまでは決して死なない、と聖霊からお告げを受けていたのである。 シメオンはある日、聖霊に導かれ神殿の境内に入ってきた。そのとき、マリアとヨセフは幼児イエスを連れてきていたのであった。 シメオンはイエスを腕に抱き、神に言った。「神よ、今こそ、私を安らかに去らせていただけますね」 シメオンはこの日を、どれほど待ったのだろう。聖書には書かれていない。 さらに辛い預言をマリアに与えねばならない。「この子のために、あなた自身の心も剣で刺し抜かれます」 これは、キリストの磔刑を預言したものである。「子供に先立たれる母」を預言しなくてはいけなかったのである。 シメオンは悦びと悲しみを、同時に知ることになる。 この主題はレンブラントも描いている。（参考・レンブラント1 ）（レンブラント２） この作品において、デ・ヘルデルはレンブラントに勝るとも劣らない技量を発揮している。いったいシメオンは、イエス・キリストというメシアの到来をどれくらい待ったのであろうか。シメオンの安堵と深い悲しみが出ているのは、デ・ヘルデルの作品のほうであろう。
この人を見よ　　Ecce Homo
	1671 Oil on canvas The Dresden Gallery, Dresden, Germany
Hermannus Boerhaave with his wife
	1724 アムステルダム国立美術館
Christ on the Mount of Olives
	Oil on wood. New York, collection of Richard L. Feigen..
Abraham and Angels
	Oil on canvas Museum Boymans-van Beuningen, Rotterdam, Netherlands
自画像
	- Oil on canvas, 79 x 64 cm エルミタージュ美術館
ヘルデルが手に持っているのは、レンブラントのエッチング" The 100 Guilder Print" である。レンブラントへの敬意を表している。
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