ジョヴァンニ・ベッリーニ |
(1433-1515) |
イタリア ルネサンス、ヴェネツィア派 |
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父親ヤコブ、弟ジェンティーレとともに、家族工房を形成し、活躍した。
妹ニコロジアは、マンテーニャと結婚した。 |
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オリブ園の祈り 主題解説:聖書の物語へ行く |
1459 Tempera on wood, 81 x 127 cm ロンドン・ナショナル・ギャラリー |
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この絵は、マンテーニャの絵と呼応するように描かれている。マンテーニャの絵の5年後にベッリーニが描いたものである。
両者を見比べると、ヴェネツィアの自然主義がよく分かる。
眠っている使途を描く際に用いられている極端な短縮法をみると、両者とも遠近法に非常に長けていたことがよくわかる。
遠景には、キリストを捕らえようとする、ユダ率いる兵士たちが描かれている。
しかし、岩山に目をやると、マンテーニャの絵が硬質で、攻撃的な雰囲気を出しているのに比べ、ベッリーニのそれには、柔らかで、強烈なものがない。
マンテーニャのイエスは聖なる時を語り、日常とは隔絶している。空は凍てつき、不動のものとなっている。対するベッリーニの空は、早朝のさわやかな空が広がる。現実的で、日常的なのである。
天使は、マンテーニャの場合、実在感があるが、ベッリーニの天使は、幻のような、大気のような天使である。
ヴェネツィアの自然主義とは、このベッリーニの絵のように、大気と光、色彩に重きをおき、それに、詩的要素が加わったものなのである。
ベッリーニはジョルジョーネやティツィアーノに、大いなる道を残した。さらに、老いてからは、若い画家に従うをよしとし、彼らの様式を受容した。その結果、80代になるまで、すばらしい作品を描きつづけた。 |
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ピエタ(墓の中の死せるキリスト) |
1460 Tempera on panel, 48 x 38 cm ポルディ=ペッツォーリ美術館 ミラノ |
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ピエタ(2人の天使に支えられる死せるキリスト) |
1460 Tempera on panel, 74 x 50 cm コレール美術館 ヴェネツィア |
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ピエタ(聖母と聖ヨハネに支えられる死せるキリスト) |
1460 Tempera on panel, 86 x 107 cm ブレラ美術館 ミラノ |
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祝福するキリスト |
1460 Tempera on wood, 58 x 44 cm ルーヴル美術館 |
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キリストの神殿奉献 |
1460-64 Tempera on wood, 80 x 105 cm クエリーニ=スタンバリア美術館 ヴェネツィア |
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マンティーニのレプリカ。登場人物が二人多い。 |
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ジョヴァンニ・ベリーニ 「 聖母子 」 1475 |
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ジョヴァンニ・ベリーニ 「 荒野の聖フランチェスコ 」 1480 | 124.4 x 141.9 cm | フリック・コレクション ニューヨーク |
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近世風景画の傑作。聖人の姿が小さく描かれている。
聖フランチェスコが裸足なのは、聖なる地に立っているから。
雄大で近寄りがたい風景と、身近で親しみやすい風景、両方を持っている。
ファン・アイクの影響があるとされる。
1300年代のフランドル作品は、1450年以前にヴェネツィアに届いていた。
しかし、フランドルの画家たちとは違い、ベッリーニは、数学的に空間配置をして、科学的遠近法を使用して画面構成をしている。
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ジョヴァンニ・ベリーニ 「 聖母子 」 1485-1490 |
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ジョヴァンニ・ベリーニ 「 聖母子 」 1490-1520 |
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聖母子と洗礼者ヨハネと聖女(ジョヴァネッリの聖会話) |
1500-04 Oil on panel, 54 x 76 cm アカデミア美術館 ヴェネツィア |
代表作の一つ。背景の風景が卓越している。 |
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ジョヴァンニ・ベリーニ 「 統領レオナルド・ロレアン 」 1501-05 |61.5
x 45 cm| ロンドン・ナショナル・ギャラリー |
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レオナルド・ロレアンは、1501年、ヴェネツィア統領に就任。 |
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神々の祝宴(バッコス祭) 主題解説:ギリシャ神話へ行く |
1514 Oil on canvas、170 x 188 cm ワシントン・ナショナル・ギャラリー |
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少年バッコス 主題解説:ギリシャ神話へ行く |
1514 Oil on wood, 48 x 37 cm |
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ジョヴァンニ・ベリーニ 「 牧場の聖母子 」 1505 ロンドン・ナショナル・ギャラリー |
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ベリーニは、色彩に固執する、最初のヴェネツィアの画家であった。色彩の中では、人間が中心なのではなく、人間は自然の一部であるという真実が表現される。
すべての画家が母親を持っている。聖母子像には、この母と子という、人間心理が、如実に表れてくる。これは、「謙譲の聖母」としてあらわされる。
マリアの衣装は、青と赤である。玉座にではなく、地面に直接座るマリアに、青と赤が映える。地面に座るマリアは、14世紀からの伝統で、「謙譲の聖母」である。マリアは衣服と共に、ピラミッド型で、モニュメンタルであるが、謙譲さが強く出ている。このリアルさはベッリーニの技である。象徴と現実。この相反する二つを自然の光で調和させ、統一したのである。
マリアの左端の木の上に、大きなカラスがいる。「死」の象徴である。しかし、カラスは、「死」同様、自然の一部なのである。対する聖母子は、「死」のあとに「平安」があることの象徴である。
カラスが止まっている木の下に、蛇と戦う白鷺がいる。これは、善と悪の戦いを意味している。白鷺の戦いは、キリストの苦悩を表し、蛇は、エデンの園に入り込んだ蛇(悪)を意味しているともされる。
右側には、普通の生き物が、日常の姿で描かれている。牡牛が鋤を引き、農民がその後ろを歩いている。聖母子によって、きれいに、「死」と隔絶されているのである。
農民と牛の後ろには、町の城壁が見える。町で営まれる政治や商業は、左側と聖母子の語る、「死」というテーマから遠ざけられている。ベッリーニの現実は、この町の中にある。天使が飛びかう閉ざされた庭ではない。
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サン・ザッカリア祭壇画 |
1505 oil on wood, transferred to canvas 402 x 273 cm サン・ザッカリア聖堂 ヴェネツィア |
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